
検証日:2026年10月15日
Adobe Acrobat ProでPDFのプリフライトを実行したところ、見慣れないエラーメッセージが表示され、Acrobatがフリーズしてしまいました。
エラーには std::system_error や Unicode といった文字が見えますが、肝心の説明が文字化けしていて読めません。
最初はPDFのフォントか、使用しているプリフライトプロファイルの問題だと思いました。
ところが、同じPDFでもファイル名を英数字に変更するだけで正常に処理が完了することが分かりました。
今回はAdobeの公式情報を確認しながら、ファイル名とフォルダー名を変更して、どのような条件でエラーが発生するのか検証してみました。
結論から言うと、2026年10月14日に公開されたAcrobatの 26.002.22031 でも、今回の環境では不具合が再現しています。
Acrobatのプリフライトでエラーが発生した場合の回避策
まず結論です。
PDFを半角英数字だけのフォルダーにコピーし、ファイル名も半角英数字に変更することで、今回のエラーを回避できました。
例えば、次のようなパスです。
変更前:
C:\PDF\日本語フォルダー\報告書.pdf
変更後:
C:\Temp\PDF\report.pdf
重要なのは、ファイル名だけでなく、保存先のフォルダーパスも確認することです。
今回の検証では日本語のフォルダー名でも正常に動作する場合がありましたが、★ などの特定の記号が含まれていると、英数字のファイル名でもエラーが発生しました。
確実に作業を進めるなら、保存先からファイル名まで半角英数字に統一する方法が無難です。
なお、これはAdobeも公式に案内している回避策です。
プリフライト実行中にUnicodeエラーが表示される
実際に発生したエラーがこちらです。

画面には次のメッセージが表示されています。
Standard library exception of type 'class std::system_error' caught.
Message: "Unicode ..."
後半は文字化けしており、そのままでは内容を読み取れません。
さらに厄介なのが、エラー画面で「OK」を押してもAcrobatが正常な状態に戻らないことです。
今回の環境では、通常の操作でAcrobatを終了できず、Windowsのタスクマネージャーから強制終了する必要がありました。

プリフライトが失敗するだけでなく、Acrobat自体が応答しなくなるため、別のPDFで作業を続けることもできません。
使用した環境
| 項目 | 検証環境 |
|---|---|
| ソフトウェア | Adobe Acrobat Pro(64bit) |
| リリース系統 | Continuous Release |
| 検証バージョン① | 2026.002.21901 |
| 検証バージョン② | 2026.002.22031 |
| OS | Windows環境 |
| 204ページのPDF | |
| プリフライト | カスタムプロファイル「日本語フォントチェック」 |
プリフライトには、主にフォントの埋め込み状態などを確認するためのカスタムプロファイルを使用しています。
Adobeもプリフライトの不具合を公式に認めている
調べてみると、今回のエラーはすでにAdobeが把握している不具合でした。
2026年8月6日、AdobeはAcrobat 26.001.21745 へのアップデート後、Windows環境でプリフライトを実行するとフリーズする問題について公式に案内しています。
Adobeの説明では、フォルダー名やファイル名に、ひらがな・カタカナ・漢字などが含まれる場合にエラーが発生するとのことです。
回避策として案内されているのは、フォルダー名とファイル名を半角英数字に変更する方法でした。
しかし、実際に検証してみると、少し違った結果になりました。
日本語のフォルダー名でも正常に動作する場合がある一方、日本語を含まない名前でもエラーが発生したのです。
ファイル名とフォルダー名を変えて検証してみた
そこで、同じPDFのファイル名と保存先を変更し、プリフライトを繰り返し実行してみました。
検証結果一覧
| フォルダー名 | PDFファイル名 | 結果 |
|---|---|---|
| 半角英数字 | 半角英数字 | ○ 完走 |
| 半角英数字 | 日本語 | × エラー |
| 日本語 | 半角英数字 | ○ 完走 |
| 日本語 | 日本語 | × エラー |
| 日本語 | 半角英字+全角スペース | ○ 完走 |
| 日本語 | 全角英数字 | × エラー |
| 半角英数字+★ | 半角英数字 | × エラー |
※あくまで今回の環境とプリフライトプロファイルでの検証結果です。
① フォルダー名とファイル名が半角英数字なら完走
まず、フォルダー名とファイル名をどちらも半角英数字にしてみました。
結果は正常終了です。

画面には赤い「×」が表示されていますが、これはプリフライトがPDFを解析した結果、指定した検査条件に該当する項目が見つかったことを意味します。
今回のUnicodeエラーとは別物です。
「プリフライトが正常に完了したこと」と「PDFがすべての検査に合格したこと」は異なります。
② フォルダー名が日本語でも、ファイル名が英数字なら完走
続いて、保存先のフォルダー名を日本語に変更してみました。
PDFのファイル名は半角英数字のままです。

こちらも正常にプリフライトが完了しました。
つまり、今回の環境では、日本語のフォルダー名が存在するだけで必ずエラーになるわけではありません。
一方、同じフォルダー内でファイル名を日本語にすると、Unicodeエラーが発生しました。
この時点で、ファイル名に含まれる文字の影響が大きいと考えられます。
③ ファイル名に全角スペースがあっても完走
次はファイル名に全角スペースを挟んでみます。
意外なことに、こちらは問題なく完走しました。

全角文字が含まれていても、必ずエラーになるわけではないようです。
④ ファイル名を全角英数字にするとエラー
今度は、ファイル名のアルファベットをすべて全角に変更しました。
例えば、次のようなファイル名です。
NIHONGOJANAINAMAE.pdf
日本語の文字は含まれていません。
それでもUnicodeエラーが発生しました。

つまり、ひらがな・カタカナ・漢字だけが問題というわけでもありません。
⑤ フォルダー名に「★」を入れるとエラー
最後に、ファイル名は半角英数字のまま、保存先フォルダー名に ★ を追加してみました。

結果はエラーです。

日本語が含まれていないファイル名でも、パスに特定の記号があるだけで正常に処理できなくなりました。
今回の検証では、ファイル名の日本語、全角英数字、フォルダー名の ★ がそれぞれエラーの発生条件となりました。
ただし、全角スペースのように問題なく処理できる文字もあります。
単純に日本語か英語か、あるいは全角か半角かだけでは判断できないようです。
文字化けしたUnicodeエラーの原因を考える
エラーメッセージには std::system_error と表示されています。
これはC++の標準ライブラリで使用される例外の一種で、OSなどの処理からエラーが返された場合に発生することがあります。
今回の文字化けしたメッセージは、Windowsのエラーコード 1113(0x459) に相当するものと考えられます。
エラーの名称は次のとおりです。
ERROR_NO_UNICODE_TRANSLATION
Microsoftの公式ドキュメントでは、Unicode文字を変換先のマルチバイトコードページに対応付けられない場合のエラーとして定義されています。
つまり、Acrobat内部で文字列のエンコード変換に失敗している可能性があります。
ただし、ここで少し疑問が残ります。
日本語Windowsで一般的に使用されるCP932では、今回エラーの原因となった ★ や全角英数字も表現できます。
さらに、全角スペースは正常に処理できています。
そのため、「CP932で扱えない文字だからエラーになる」という説明だけでは、今回の現象を説明できません。
UTF-8やCP932など、異なる文字コード間での変換処理や文字列の取り扱いに問題がある可能性はありますが、Acrobat内部の具体的な実装までは確認できていません。
ここは推測の域を出ないため、引き続きAdobe側の調査結果を待つ必要があります。
2026年10月14日のアップデートでも解消せず
今回の問題は、2026.002.21901 で確認しました。
その後、2026年10月14日に公開された 2026.002.22031 へ更新して、再度プリフライトを実行しています。

しかし、結果は変わりませんでした。

Adobeのリリースノートを確認すると、26.002.22031ではPDFを開いた際にランダムにクラッシュする問題への修正が記載されています。
一方、今回のプリフライトのUnicodeエラーについては、修正項目に記載がありませんでした。
少なくとも今回の検証環境では、2026年10月15日時点で、この不具合は解消していません。
当面の対処方法と注意点
修正版が確認できるまでは、プリフライトに使用するPDFを半角英数字の名前で扱うのが現実的です。
実際の運用では、次の方法をおすすめします。
- 元のPDFを別の場所にコピーする。
C:\Temp\Preflight\など、半角英数字だけのフォルダーを用意する。- コピーしたPDFを
test.pdfなどの半角英数字名に変更する。 - Acrobat ProでPDFを開き、プリフライトを実行する。
- 検査結果を確認し、必要に応じて元のファイルとの対応を記録する。
途中のフォルダー階層にも問題となる文字が含まれていないか注意してください。
また、プリフライトのプロファイルには、検査だけでなくPDFを修正する処理が設定されている場合があります。
「解析してフィックスアップ」を実行する場合などは、元のPDFを書き換えないよう、作業用コピーを使用した方が安全です。
なお、旧バージョンへの切り戻しについても報告がありますが、Adobeは旧版の再インストールに伴う別のフリーズ問題にも注意を促しています。
そのため、現状では無理にバージョンを戻すより、ファイル名を変更して作業する方が影響を限定できると考えています。
まとめ
今回、Adobe Acrobat Proのプリフライトで発生するUnicodeエラーについて検証してみました。
分かったことは次のとおりです。
- 日本語のファイル名ではエラーが発生した。
- 日本語のフォルダー名だけなら正常に処理できる場合があった。
- 全角英数字のファイル名でもエラーが発生した。
- 全角スペースを含むファイル名は正常に処理できた。
- フォルダー名に
★を追加すると、英数字のファイル名でもエラーが発生した。 - Acrobat 26.002.22031でも症状は解消しなかった。
- 半角英数字のみのパスとファイル名に変更することで回避できた。
ファイル名やフォルダー名によってアプリケーションが動作しなくなるとは、なかなか厄介な不具合です。
特に日本語のファイル名を日常的に使用する環境では、影響が大きいと思います。
原因となる文字の条件にはまだ不明な点がありますが、作業を再開するための回避策は確認できました。
同様のエラーで困っている場合は、まずPDFの保存先とファイル名を半角英数字に変更してみてください。
参考リンク
Adobe公式:Acrobatのプリフライト実行時にフリーズする不具合
2026年8月6日に公開された公式案内。対象環境、エラーの発生条件、半角英数字への変更による回避策が説明されています。
Adobe公式:Acrobat 26.002.22031 Release Notes
2026年10月14日の更新内容。不具合修正項目と公開バージョンを確認できます。
Microsoft Learn:システムエラーコード 1000~1299
エラー1113(ERROR_NO_UNICODE_TRANSLATION)の正式な定義を確認できます。
Adobe公式:プリフライトプロファイル(Acrobat Pro)
プリフライトの検査条件、プロファイルの編集・管理などについて説明されています。

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