【2026年2月の噂検証】DDR5価格は本当に下落したのか? EU・米国市場の価格トレンドをデータで比較

2025年後半から2026年初頭にかけて,DDR5メモリ価格は異常な水準まで高騰しています。
以前の記事でも整理した通り,AI向けDRAM需要の急増がコンシューマ市場を圧迫している構造については変化はありません。

しかし,2026年2月ごろからX(旧Twitter)などで「メモリの価格が下がり始めた」という投稿や,ブログ記事を見かけるようになりました。

本記事では,事実検証と複数の海外ソースを一次情報ベースで確認します。

目次

結論:供給改善による値下がりではなく,価格急騰による需要抑制が上昇を止めただけである。

価格指数は2026年1月に440%へ達した後,2月下旬も439%と高止まりしてます。
広範な下落は確認できず,多くの製品は横ばいです。また,供給増を示すデータも現時点では見当たらないため,現在の停滞は,供給改善ではなく,急騰による需要減速が上昇を止めた結果と解釈するのが妥当です。

確認:海外ソースより

Tom’s Hardware

2026年2月22日にTom’s Hardwareにて公開された記事「Retail DDR5 memory prices slowly drop in Europe despite ongoing shortages — overdue pricing correction could be beginning in some regions」より。

“Retail DDR5 memory prices slowly drop in Europe.”
While $400 is certainly way too high for a 32 GB DDR5-6000 memory kit in 2026, we are not going to see prices decline to normal levels due to shortages of memory chips, which is going to happen either when excessive demand for all kinds of memory drops, when new DRAM production capacities come online in late 2026 – 2027, or when DRAM makers transit to more efficient process technologies. Yet, the signs of correction clearly show that the retail DDR5 kits’ prices are way too high, which affects demand significantly enough for retailers to slash their price tags.

出典:Tom’s Hardware
http://tomshardware.com/pc-components/dram/retail-ddr5-memory-prices-slowly-drop-in-europe

意訳

2026年時点で32GBのDDR5-6000メモリキットに400ドルという価格は明らかに高すぎる。

ただし,メモリチップの供給不足が続いているため,価格が従来の水準まで大きく下がることは当面見込みにくい。
価格が正常化するとすれば,以下のいずれかが起きた場合に限られる。

  • 各種メモリ製品への過剰な需要が落ち着く
  • 2026年後半〜2027年にかけて新たなDRAM生産能力が本格稼働する
  • DRAMメーカーがより効率的な製造プロセスへ移行する

一方,市場にはすでに調整の兆しが見えている。小売向けDDR5キットの価格は明らかに割高であり,その影響で需要が十分に落ち込み,小売業者が値下げを余儀なくされている状況である。

3dcenter(ドイツ市場速報)のアンサー記事

Tom’s Hardwareさんの記事やRadditの投稿について,ドイツメディアの3DCenterが出したニュース。
「市場全体のトレンド」と呼ぶにはデータ不足かつ誤認誘導の可能性を指摘したうえで,メーカーに依存しない20製品の横断比較した結果を示しています。

本文より,一部抜粋です。気になる方は引用部分にリンクを載せておきますので,ご確認ください。

Im groben bleibt es vorerst beim einmal erreichten Preisplateu … ergibt sich dafür noch kein Ansatzpunkt.
(中略)
so lange dies nicht über einige (Hersteller-unabhängige) Speicherprodukte passiert, gibt es keinen generell fallenden Preistrend (bei DDR5-Speicher) zu konstatieren.

出典:3DCenter
https://www.3dcenter.org/news/news-des-2122-februar-2026

意訳

全体としては高値圏で横ばい。下落トレンドを示す根拠は現時点では存在しない。
複数メーカー製品に広範囲で下落が波及しない限り,DDR5価格の下落トレンドとは言えない。

記事全体の整理(補強)

事実として,欧州で一部製品が値下げ,ピーク比では若干下落が発生。

しかし,供給改善は確認されておらず,横断データでは下落傾向は確認できない。データを確認すると,2025年春比では依然3〜5倍の水準を維持している。

よって,これは需給改善ではなく,高値による需要抑制の結果である。

結論

「価格は下がり始めた」という表現は,一部製品レベルでは事実だが,市場全体トレンドとしては未確認。
供給制約は継続で,AI向け優先生産構造も変わらない。
したがってこれは,暴落ではなく、価格高騰後の調整局面である。
本質的な正常化は,新規キャパ稼働,AI需要減速のいずれかが明確化するまで起きない。
現時点でそれは確認できていない。

因果構造の整理

価格高騰の因果

AIサーバー需要急増

HBM・高密度DRAM優先生産

コンシューマ向けDDR5供給縮小

小売価格急騰(最大4〜8倍)

現在の調整要因

高価格による需要抑制

小売在庫滞留

欧州で価格微減

重要なのは,供給改善は確認されていない点。

3dcenterのデータで見る現在地

以下の表は 3DCenterがドイツ小売(Geizhals最安,eBay/Amazon Marketplace除外)で集計したDDR5価格指数データ。期間は 2025年7月(12./13.7.)→ 2026年2月22日

出典:3DCenter https://www.3dcenter.org/news/news-des-2122-februar-2026
出典:3DCenter https://www.3dcenter.org/news/news-des-2122-februar-2026

見方

馴染みがないと思いますので,横軸の見方を説明します。

意味
12./13.7.2025年7月時点(基準)
14.12.2025年12月
18.1.2026年1月
15.2.2026年2月中旬
22.2.2026年2月下旬
15.2→22.2直近1週間の変化
Σ Steigerung2025年7月比の累積上昇率

価格指数(20製品平均)

日付指数
2025年7月100%
2025年12月345%
2026年1月440%
2026年2月中旬440%
2026年2月下旬439%

7月比 +339%(約4.39倍)。1月でピーク到達でその後 横ばい状態。
よって, 「暴落」ではなく,「ピーク後の高止まり」。

結論

現在の状況は,供給改善ではなく,急騰による需要減速が上昇を止めた結果と解釈するのが妥当です。

  • 「価格は下がり始めた」は事実(欧州限定)
  • ただし水準は依然として歴史的高値
  • 需給構造は未解決
  • AI需要優先の生産構造は継続

そのため,値下がり記事がネットニュースに乗ることもありますが,暴落ではなく価格調整です。

今後の注目点

  1. Micron / Samsung の新規キャパ稼働時期
  2. AIサーバー投資の減速有無
  3. HBM優先生産がどこまで続くか

本質的な価格正常化は,供給増が実体化する2027年以降と見るのが合理的です。
期待を持って書き始めた記事ですが,前記事と供給減少の状況は変わっていないことになります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメントはこちら

コメントする

目次