【PCメモリ価格が高騰中】なぜPCメモリがここまで値上がりしているのか最新状況をわかりやすく解説

つい最近まで「メモリは安い,積めるだけ積んどけ」が常識でした。しかし今,PC用メモリ(特に DDR4 / DDR5)が大きく値上がりし,店頭では購入制限がかかるケースも出ています。

「なんでこんなに高くなってるの?」「これっていつまで続くの?」この記事では,その疑問に答えていきます。

目次

結論:PCメモリの価格高騰は「偶然」ではなく構造的なもの

PCメモリ価格が上がっている主な理由は,次の5つです。

  1. 生成 AI・データセンター向け需要が爆発的に拡大している
  2. 工場・ウェハ生産など「供給側」がすぐには増やせない
  3. 旧世代メモリ(DDR4)の生産縮小で、需要と供給のバランスが崩れている
  4. メーカーがサーバー / HBM を優先し、PC向けが後回しになっている
  5. 大口顧客が在庫を先に押さえ、一般ユーザー向けの流通がタイトになっている

それぞれ,もう少し噛み砕いて見ていきましょう。

実際にどれくらい値上がりしているのか?

まずは、具体的な数字で「どれくらい値上がりしているのか」を確認しておきます。

CFD「W5U5600CS-16G」(DDR5メモリ 16GB×2枚組)の価格推移。 2025年8月時点では最安値 11,480円 前後だったものが、 2025年11月には 37,400円 まで上昇しています。 11,480円 → 37,400円 ということは、約226%の値上がり(約3.3倍)。 わずか数か月でここまで跳ね上がっているのは、まさに異常事態と言ってよいでしょう。 出典: 価格.com「CFD W5U5600CS-16G [DDR5 PC5-44800 16GB 2枚組]」 の価格推移グラフ作成。

ここまでの値上がりは,「たまたま在庫が薄いから」レベルの話ではありません。 背景にある大きなトレンドを押さえる必要があります。

理由1:生成AI・データセンター需要がメモリを「食い尽くしている」

ChatGPT をはじめとする大規模言語モデル(LLM)や画像生成 AI など, 生成 AI 用のサーバーはとにかく大量のメモリを必要とします。

その結果,DRAM 市場全体では, 「AI サーバー向けに高性能メモリを優先的に回す」という流れが加速。 企業による “メモリ争奪戦” が起こり, その波が一般向け PC 用メモリの価格にも波及しています。

簡単に言うと,「企業の AI 投資のツケが、PCユーザーのメモリ価格に乗っかってきている」 という構図です。

理由2:半導体工場はそんなに簡単には増やせない

「需要が増えたなら,たくさん作ればいいじゃないか」と思いがちですが, 半導体メモリの工場(ファブ)はそう簡単には増やせません。

  • 新工場の建設・装置導入に数年単位の時間がかかる
  • 巨額の投資が必要で,景気や市況もにらみながら慎重に決めざるを得ない
  • プロセス微細化が進むほど,歩留まり改善にも時間がかかる

つまり,需要だけが一気に先行してしまい,供給が追いついていない状態です。 供給が増えないまま需要だけ増えれば,価格が上がるのは必然です。

理由3:旧世代 DDR4 は「安くなるどころか高騰」している

本来であれば,新世代の DDR5 が普及してくると,旧世代の DDR4 は「在庫処分でどんどん安くなる」というのがセオリーです。

ところが,現実はその逆。 メーカーはラインのリソースを新しい製品に集中させるため, DDR4 の生産を縮小し始めています。

一方で,まだまだ世の中には DDR4 世代の PC が多く残っており, 「メモリだけ増設したい」という需要も根強く存在します。 その結果,需要はそこそこあるのに,供給だけが減っていくといういびつな状態になり, DDR4 の価格が上がってしまっているのです。

「旧世代だから安いだろう」と思っていると, むしろ高くつくという,ややこしい状況になっています。

理由4:メーカーは“より儲かるメモリ”から作る

Samsung や SK hynix などのメモリ大手は, 当然ながらビジネスとして利益率の高い製品を優先して生産します。

現在もっとも熱いのは,AI サーバー向けの サーバー DRAM や HBM(High Bandwidth Memory)です。 これらは高単価で,長期契約も見込めるため,PC向けより優先されがちです。

そのしわ寄せとして, 一般向け PC 用 DDR4 / DDR5 の生産量は相対的に抑えられ,結果的に価格が上がりやすい というわけです。

理由5:大口顧客が在庫を囲い込み,ショップ分が枯渇気味

もうひとつ見逃せないのが,クラウド事業者や大手メーカーなど 大口顧客による在庫の“囲い込み”です。

彼らは長期契約で大量発注するため, メーカーもまずはそちらの需要を優先してさばきます。 その結果,パーツショップや一般流通に回ってくる数量が相対的に少なくなり,店頭価格が上がったり,購入制限がかかったりする状況が生まれています。

「欲しいときに買えない」「買えたとしても高い」―― そんな悪循環を感じている自作ユーザーも多いはずです。

この高騰はいつまで続くのか?

現時点の見方としては,2025〜2026年にかけては高止まりが続く可能性が高いと考えられます。

  • 生成 AI・クラウド向けの投資は簡単にはブレーキがかからない
  • 新工場の立ち上げには時間がかかり,すぐに供給過多にはならない
  • DDR4 はすでに終息フェーズに入りつつあり,今後増産される見込みは薄い
  • HBM など高付加価値メモリへのシフトはさらに加速する可能性が高い

つまり,「そのうちまた昔みたいにメモリが激安になるだろう」 と期待していると,かなり長いこと待たされるかもしれません。

今,PCユーザーはどう動くべきか?

1. 既存PCのメモリ増設を考えている人へ

すでに DDR4 / DDR5 世代の PC を使っていて,「あと少しだけメモリを増やしたい」と考えているなら, 早めに購入してしまうことをおすすめします。

特に DDR4 は今後も供給が減る一方なので,「安くなってから買う」戦略は通用しづらい状況です。

2. これから新規に自作する人へ

これから新しく組むのであれば, 基本的には DDR5 プラットフォームで組むことになるでしょう。 その場合も,「今より劇的に安くなる未来」は,少なくとも短期的には期待しにくいと考えておいたほうが現実的です。

3. 大容量(64GB〜)を狙っている人へ

ゲーム配信,動画編集,AI ローカル推論などで 64GB 以上を検討している場合, まさに AI サーバーと同じ方向の需要とモロにかぶります。 今後も価格上昇圧力がかかりやすいゾーンなので, 予算に余裕があるタイミングで早めに確保しておくのが無難です。

まとめ:PCメモリは「激安時代」から「上昇フェーズ」へ

ここ数年続いてきた「メモリは安いから,とりあえずたくさん積め」という時代は, 一度終わりを迎えつつあります。

背景には、 生成 AI・データセンター需要の拡大半導体工場の制約DDR4 終息と HBM シフト, そして 大口顧客による在庫確保 といった複数の要因が絡み合っています。

その結果として 「以前のような叩き売り価格のメモリ」はしばらく期待しにくい というのが現実です。

もしあなたが「そろそろメモリを増設しようかな」「次の自作を組もうかな」と考えているなら, 価格推移グラフを一度チェックしたうえで、 「必要になったときが買い時」と割り切って動いてしまうのが, 一番ストレスが少ない選択かもしれません。

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