【訂正・最新情報】Windows11 KB5063878によるSSDクラッシュの不具合と修正の真相

【2025年9月更新】
本記事は当初「KB5063878 の修正はプログラム本体に含まれる」と解説していましたが,後の検証で 実際にはマニフェスト(メタデータ)のみが修正され,バイナリ本体は変更されていなかった ことが判明しました。以下に,誤りを含んでいた部分の訂正と最新情報を反映しています。

目次

KB5063878 とは?(背景)

  • 2025年8月12日に配信されたWindows Update。
  • NTFSの重大な脆弱性を修正することが目的。
  • 配信直後から一部ユーザー(特に日本語環境)で SSDのSMART値異常増加・I/Oエラー の報告がSNSで炎上した。

当初報告された不具合

  • CJK(日本語・中国語・韓国語)環境でI/Oリトライが無限ループ化。
  • SSDがOSから頻繁にリセットされ,SMARTの「Unsafe Shutdown」「Power-Cycle Count」が異常増加。
  • イベントビューアには 129(デバイスリセット)/153(I/Oリトライ警告) が多数記録。

実際の原因(最新情報)

  • プログラム本体(ntfs.sys など)は変更なし
  • 問題は「マニフェスト(更新ルールブック)」の設定ミス
  • 本来 UTF-16(2B)前提で動くCJK環境に対し、誤ってUTF-8(3B)で解釈する設定が配布
  • その結果、$MFT(Master File Table)内でバイト境界がズレ → I/O異常が発生
  • 英語OS(UTF-8/1B)はほぼ影響なし、CJK環境特有の炎上だった

サイレント修正の有無

  1. Microsoftは「修正済み」と公表
  2. 実際の修正は「マニフェスト差し替え」のみ
  3. バイナリは変わらず,旧マニフェストは入手不可 → 外部から見ると「サイレント修正」に見えた

これにより「サイレント修正では?」と議論を呼んだ

現在の状況(2025年9月時点)

  • 最新のマニフェストが既に配布済み
  • クリーンインストール+最新パッチ適用環境では再現せず
  • MicrosoftやPhison(SSDベンダー)の検証でも「物理的破壊は未再現」と報告
  • 英語環境では軽微な不具合はあるものの,今回のような大規模な問題は確認されず

まとめ

  1. KB5063878の炎上原因は「NTFS本体の不具合」ではなく「マニフェストの文字コード設定ミス」
  2. 英語OSでは無風,CJK環境のみ影響大
  3. Microsoftがマニフェストを修正したため,現在は収束済み
  4. 当時の報告で見られたSMART異常値は「OSがSSDにリセットを投げた結果」であり,物理的な破壊ではない

補足:Windows Update は「2層構造」で動いている

Windows Update は 更新ファイル(コンテンツ)更新メタデータ(ルール) の2層で構成されています。
この仕組みを理解すると、「なぜバイナリが変わっていないのに挙動が変わったのか?」が説明できます。

① 更新ファイル(コンテンツ/ペイロード)

  • 例:ntfs.sysstorport.sys を含む .msu / .cab
  • Microsoft Update Catalog から再取得可能
  • ハッシュ値が公開されており、同じリビジョンなら外形上は不変

今回の KB5063878 では,この プログラム本体は変更されていません
つまり「サイレントに差し替えられたわけではない」という点が重要です。

② 更新メタデータ(ルールブック)

  • 適用条件(Applicability rules)
  • 再起動要否
  • 優先度・置換関係(Supersedence)
  • 言語/分類情報 など

このメタデータは Microsoft Update/WSUS サーバー側に存在し,常に最新版に置き換わります
クライアントはスキャン時に最新のメタデータを取得するため,外部からは「いつの間にか挙動が変わった」ように見えるのです。これにより,「サイレントアップデート」に見えます

今回の原因はメタデータ

  • プログラム本体(ntfs.sys等)は無変更
  • メタデータの文字コード指定(UTF-8/UTF-16)に誤りがあり,CJK環境で境界ズレを引き起こした
  • そのため,外形は「同じ KB/同じバイナリ」でも,実際の挙動が変わってしまった

よくある質問(FAQ)

KB5063878 の不具合は直りましたか?

はい。マニフェスト修正により現在は収束済みです。クリーンインストール環境では再現しません。

SSDが壊れるリスクはありますか?

MicrosoftとPhisonの検証では物理破壊は確認されていません。
問題はOSがSSDにリセットを投げていたことによるログ異常でした。

関連リンク

Tom’s Hardware – KB5063878 issue analysis
技術メディアによる詳細分析。I/OエラーやSMART異常の背景を解説。

Microsoft サポートページ(KB5063878)
KB5063878 に関する Microsoft 公式サポート情報。

The Verge – Windows Update didn’t brick your SSD
海外メディアによる検証記事。「SSD物理破壊は未再現」とする報道。

更新履歴

2025/08/20:初稿公開
2025/09/12:Microsoft/Phisonの公式見解を反映。「プログラム本体は未変更,マニフェスト修正のみ」と訂正

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